美容鍼のリスク
美容鍼は、薬剤を用いる美容整形などに比べ副作用がほとんどなく、体に優しい施術です。
しかし、毛細血管の集まる皮膚に鍼を刺すという施術である以上、出血や内出血のリスクを100%避けることはできません。
そのため、結婚式や撮影等の大切な予定の直前の施術は、お断りする場合もございます。髪の毛で隠れる頭部など目立たない部分のみに鍼施術を行ったり、鍼を使わない小顔矯正等で対応させていただきますので、スタッフまでご相談ください。

なぜ美容鍼で内出血が起こる?
皮膚に鍼を刺すと、血管を刺したり、傷つけてしまうことがあります。
通常血管は弾力があり、鍼が触れると異物と認識し、血管のほうが避けてくれます。しかし、血流の滞りなどから健康状態が損なわれた血管は、弾力性が失われ鍼を避けることができず傷ついてしまいます。
血管が傷つくと、そこから血液が皮下組織に漏れ出します。漏れ出した血液が皮膚の外まで出ると出血、皮下組織に留まったままになると内出血となります。
内出血には、動脈性の内出血と静脈性の内出血があります。
動脈性の内出血は、鍼を抜くとすぐに腫れぼったくなってきます。施術者がすぐに気づけるため、その場で圧迫するなどの処置を行えます。
一方、施術の数時間後や、翌日以降に皮膚の腫れや色の変化が現れて内出血に気づくこともあります。これが静脈性の内出血です。鍼を抜いてから少しずつ出血し痛みもほとんどないため、施術中に気づくことができません。
動脈性であっても静脈性であっても、お顔の広い範囲に内出血が起こるということはほとんどありません。美容鍼に使用する鍼は髪の毛のほどの細さで、血管に触れてしまっても大きく損傷することはないからです。体質にもよりますが、内出血は1〜3週間で消え、痕が残ることはありません。
内出血は悪いものではありません
お顔に内出血(アザ)ができてしまうと、人の視線が気になったり、気分も落ち込みますね。しかし、身体にとっては内出血は悪いものではありません。
身体には、ダメージを修復し再生する力(自然治癒力)が備わっています。内出血が起こった場所でも、皮膚の組織が修復され新しい肌に生まれ変わります。
東洋医学でも「瘀血(おけつ)」という考えがあり、出血や内出血は滞っていた気や血液をスムーズにし身体の中の悪いものを外に出してくれるものと考えられています。
どんなに目立つ内出血でも、1〜3週間で必ず消えます。ファンデーションやコンシーラーで隠しながら、前向きに付き合っていけると良いですね。
内出血になりやすい原因は?
1.身体の冷え
冷え性の方は、血液の循環が滞ってしまっています。そのために内出血ができると回復に時間がかかり、目立ちやすくなります。
健康な血管で血流が良いと、内出血の回復もスムーズなため目立ちません。
2.貧血気味
貧血のある方は、主に鉄分が不足していると考えられます。鉄分は血管を健康な状態に保つための重要な栄養素です。鉄分が不足すると血管が損傷しやすい状態になり、内出血が起こりやすくなってしまいます。
3.ホルモンバランスの乱れ
女性は月経周期によりホルモンバランスの変調が起きやすい身体です。その影響で血管の状態が悪くなり内出血が起こりやすくなります。生理中や生理前は鍼の痛みを感じやすかったり、内出血が起こりやすいという方もいらっしゃいます。
4.持病がある
糖尿病や高血圧、高脂血症などの病気をお持ちの方は、血管が脆い状態になり損傷しやすく、内出血が起こりやすくなります。さらに血液を固める力も弱まる傾向にあり、内出血が消える時間も長くなります。血液をサラサラにするお薬を飲んでいる方も同じ傾向にあります。
また、喫煙などの生活習慣、ストレスや過度なダイエット等で胃腸の働きが低下している方も、内出血が起こりやすい傾向にあります。
内出血になってしまったら
内出血がみられたら、まず冷やしましょう。内出血が起きた部位は、炎症し熱を持っているので、冷やして炎症を抑える必要があります。保冷剤や氷をビニール袋に入れたものなどを、タオルやハンカチで包んで当ててください。
1〜2日で炎症は治まります。その後温めると血流がよくなり、内出血の治癒スピードも早まります。体質や病気などで内出血が起こりやすい状況でなければ、何もしなくても1~3週間程度で消えますので、ご安心ください。
美容鍼での内出血は100%避けることはできませんが、鍼灸師はできるだけリスクを下げるための工夫をしています。鍼の刺し方や抜き方、深さなど、日々の鍛錬によって技術を習得し施術にあたります。
不安や心配なことがございましたら、施術中でもお気軽にお声をかけてください。また帰宅してから気づいた変化等でも、お電話やメールにでご相談いただけます。お気軽にご連絡ください。